「ありがとう、ございます」



こんな時までお礼を言ってくる真綾がいじらしくて、腕に力を込めた。


こっちのセリフだって……。



「まーや、本当に俺の彼女になってくれる?」

「はい……高良くんがよければ……」



まだ信じられなくて確認した俺に、小さな声でそう言った真綾。



「俺今、めちゃくちゃ幸せ」



柄にもなく、この時ばかりは神の存在を信じた。



「真綾と話せない間は、死ぬほど辛かったけど」



俺の言葉を聞いて、確認するように見つめてくる真綾。

その表情は不安そうで、俺の言葉が信じられない様子だった。


……そうか。

俺が他の女と一緒にいるところを見せていたから、真綾には俺が辛く見えなかったのかもしれない。



「……私のほうが辛かったです」



そんなふうに言う真綾に、複雑すぎる感情になる。