高良くんは私の腕を掴んだまま、マンションの中に入って行った。
ここ、高級マンションじゃ……。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押した高良くん。
「あの、ここは……」
「俺の家」
高良くん、こんな豪華なところに住んでるの……?
というか、家ってことはご両親がいるんじゃ……。
「ひとり暮らしだから安心して」
私の心を読んだかのように、そう言った高良くん。
エレベーターが止まって、まっすぐに一番奥の部屋へと歩いて行った。
家に入って、ようやく離れた手。
その温もりがなくなって、私は我に返った。
のこのこついてきてしまったけど……私、もう、高良くんには関わらないって決めたのに……。
『高良くんにはね、あんたなんかじゃ太刀打ちできないくらい美人の恋人がいんのよ』
……やっぱり、ダメだ……こんなの間違ってる。