「でも……あんただって、その子のこと信じられなかったわけでしょ？」



……ッ。

その通り過ぎて、何も言い返せなかった。


真綾がこんな言い方をするのはおかしいと感じながら、何があったのか俺は何があったのか聞いてやれなかった。

俺があの時、真綾はそんなことは言わないって信じて問い詰めていれば……真綾は話してくれていたかもしれない。



「それはあんた自身の問題なんじゃない」

「……」

「当てつけみたいに他の女連れ回して……そんな男、あたしなら愛想尽かすけどね」



サーっと、血の気が引く。

今度こそ本当に……真綾に嫌われたかもしれない。

そう思うと、下っ端たちへの怒りよりも恐怖心が勝った。


……今すぐ、話さないと。

一刻も早く、誤解を解きたい。


俺は真綾が消えて行った方向へと、走り出した。