【完】溺愛したりない。〜獅夜くんは容赦ない〜

真綾があんなきつい言い方をするのも変だ……何かあったのかとも思うけど、純粋に俺といるのがただただ嫌だったのかもしれない。


補習の最終日に言ってきたっていうのも……担任に補習を見るように頼まれて、仕方なく我慢してたのかもしれないし……。


真綾から言われた言葉を思い出すたび、心臓が裂けそうなくらい痛む。

真綾が関わると、俺はこんなにも弱い男になるのかと痛感した。


——ガチャッ。


家の扉が開いて、ため息を吐くのも億劫なほどうんざりした。

一人暮らしをしている俺の家にくるやつなんか、一人しかいないから。



「やっほ~」

「……何しにきた?」



鍵、とっとと返してもらうべきだった……。

いつ来られてもだるいけど、今日は一番来られたくない日だったのに。



「あれ?辛気臭い顔してどうしたの?あんなに幸せそうだったのに、すっかり元に戻っちゃって……」