クラスメイトたちが、こそこそと話ながら私たちを見ていた。
「玉井さん、獅夜くんに振られたんでしょ?」
「でも岩尾くんがいるならいいじゃん」
「いい男ひとりじめして、ずるいよね~」
「真面目そうな顔して、実は男好きなんじゃない……?」
岩尾くんが教室にまで来るようになってからというもの、女の子たちから今まで以上に白い目を向けられるようになった。
居心地の悪さに、私も急いで立ち上がって逃げるように教室を出る。
岩尾くんが隣に並んで、まるでふたりで帰っているような絵面になった。
岩尾くんは……どうやったら、私のことを放っておいてくれるんだろう……。
何回関わらないでといっても、私の言葉なんて聞こえていないみたい。
高良くんは……すぐに、わかってくれたのに……。
ちくりと胸に痛みが走った時、廊下の向こうから歩いてくる人の姿が見えた。
「あっ……」