私が知ってる、私が好きになった高良くんが……掠れてしまいそうになるから。

……それだけは、嫌だった。






「たま……!」



お昼ご飯を食べ終わって教室に戻ろうとした時、岩尾くんが現れた。

あれ以来、岩尾くんは毎日私に声をかけてくる。

今までも会えばちょっかいをかけられていたけど、最近は休み時間にもくるようになったり、どこにいても現れるから気が気じゃなかった。



「話がある、ちょっと来い」



廊下で手を掴まれて、体がびくりと震える。



「わ、私は……ないです」

「黙って来いって——」

「お願い、します。やめて……」



何度構わないでと言っても、岩尾くんは聞いてくれない。

本当に好きでいてくれてるなら……そっとしておいてほしい、のに。



「岩尾くんといると目立つから、嫌です……」



今も、廊下を歩いている他の生徒さんたちが私たちを見ていた。