焦りをにじませながら、思いをぶつけてきた岩尾くん。

その気持ちを、どうやったって受け入れられなかった。



「なあ、脅されて獅夜と一緒にいるんだろ?」

「ちが……」

「俺が守ってやるから、あんなやつやめとけ」



岩尾くんの口から「守る」なんて言葉が出てきたことに、違和感しかない。



「お前を一番好きなのは俺だ」



そう言って、岩尾くんは私を抱きしめようとしてきた。



「や、やめてっ……!」



体が拒絶反応を起こして、岩尾くんの胸を押す。

そのまま、逃げるように走り出した。



「たま!!」



ありえない……岩尾くんが、私を好きだったなんて……。

おかしいよっ……。


岩尾くんの今までの行動は、どう考えても好きな相手にするものではないから。

もう……頭の中が、ぐちゃぐちゃだ……。