【完】溺愛したりない。〜獅夜くんは容赦ない〜

将来のためにも……高良くんにはきっちり進級してほしいから……。

……私、矛盾ばっかりだな……。


自分のことが嫌になって、また涙がにじむ。



「たま!!」



……え?


私を「たま」と呼ぶのは、ひとりしかいない。

誰かわかったからこそ、振り向けなかった。

こんな情けない顔見られたら……バカにされるに決まってる。



「今……ひとりか?」



早足で逃げようと思ったけど、すぐに追いついてきた岩尾くんが私の前にたった。

顔を見られないように深く俯いたけど、岩尾くんは視線を合わせるように顔を覗き込んでくる。



「お前、なんで泣いてるんだよ……!」

「な、泣いてない」

「泣いてんだろ」



よりにもよって、岩尾くんと遭遇しちゃうなんて……。

家が近所だから、仕方がないけど……一番会いたくない人だった。



「ほ、放っておいてっ……」