そういえば、高良くんは保健室で寝るって言ってたけど……もう戻って来てるかな。
教室の近くまで来た時、突然私の前に数人の女子生徒が現れた。
見るからに”不良”の装いをした人たちに、体がこわばる。
「あんた、玉井真綾?」
えっ……わ、私……?
「は、はい」
「ちょっと来な」
私の腕を掴んで、歩き出した不良さんたち。
どうして、私っ……。
怒っているみたいだけど、私はこの人たちのことを全く知らないし、身に覚えもない。
あ……もしかして……。
私が呼び出される理由なんて、ひとつしか思い浮かばなかった。
高良くんの、こと……?
高良くんと一緒にいるようになってから、女の子から睨まれることが増えたけど、直接何か言ってくる人はいなかった。
声をかけられそうになったことはあるけど、すぐに高良くんが助けてくれたから、被害にあったことはない。