【完】溺愛したりない。〜獅夜くんは容赦ない〜

最近は声をかけられることもなかったから、油断してた。


というか、ここ、教室の前でもないのに……。

いつもなら、岩尾くんは自分の教室の前で待ち伏せているけど、ここは移動教室の前だ。

わざわざこんなところで待ち伏せてたのかな……?


岩尾くんはキョロキョロとあたりを見渡した後、安堵の表情を浮かべてから私の腕を掴んだ。



「話があるからちょっと来い」



がしりと掴まれて、体がこわばる。



「……や、やだっ……!」



手を振り払おうと腕を動かしたけど、掴む力が強くて逃げられない。



「あ?逆らってんじゃねーよ」


岩尾くんは眉間にしわを寄せて、私のことを引っ張った。

空き教室に連れ込まれそうになって、怖くて手が震える。


岩尾くん、今まではそんな乱暴なことしなかったのに……。

どうして、こんなに怒ってるのっ……?