【完】溺愛したりない。〜獅夜くんは容赦ない〜

「いつも、言ってるでしょ。俺が一緒にいたいだけだって」



私に気を使わせないように、そんなふうに言ってくれる。

高良くんはいつだって私のことを考えて、優しい言葉だけをくれるのに……私は高良くんが欲しがっている言葉を、ひとつも返せていない。



「気をつけて帰って」



高良くんは笑顔で、また頭を優しく撫でてくれた。

こくりとうなずいて、改札へ向かう。


私は……もらってばかりだ。


優しさも、楽しさも、思い出も……与えてもらうばっかり。

こんな臆病で何もしてあげられない私のことを、どうして好きでいてくれるんだろう。


そのうち……愛想を尽かされるかもしれない。


そう思うと、ぽっかりと心の中に穴が空くような寂しさに襲われた。

気持ちに答える度胸はないくせに、いなくなってほしくないなんて……私はなんて自分勝手な女なんだろう。