高良くんは、私からそっと体を離した。
「ありがと」
嬉しそうに、笑顔を浮かべている高良くん。
ありがとうなんて……お、お礼を言われることではないのに……。
そう思いながら、こくりと頷いた。
「今回も満点です……!」
丸だらけのプリントを見て、私は目を輝かせた。
「高良くんはすごいです……!」
補習が始まってからというもの、高良くんは満点しかとったことがない。
簡単な小テストではなく、実際のテスト問題を混ぜた過去問のようになっているから、難易度は高いにも関わらずだ。
「おおげさ」
全然大げさじゃないのに、高良くんはおかしそうに笑う。
「ってことで、補習終わり」
え?
立ち上がった高良くんに、驚いて首を傾げた。
いつもプリントが終わったら、残りの補習時間はふたりでゆっくり過ごしていた。