真綾の優しくてお人好しなところに漬け込んで……怒りしか沸かない。

自分に自信がないのも、欲がないのも……全部こいつのせいだと思うと、今すぐ消してやりたくなった。

もっと早くに真綾と出会いたかったなんて、叶いもしないことを思ってしまった。




教室に戻ると、真綾はひとりで本を読んでいた。

誰かに声をかけられている様子もなく、安心する。



「あっ……高良くん、おかえり」



可愛い笑顔に出迎えられて、さっきまでの苛立ちは一瞬で吹き飛んでしまう。



「まーや、はい」

「えっ……」



俺は自分の水と一緒に買ってきたココアを真綾に手渡した。

頼まれたわけじゃないけど、甘いものが好きだって言ってたから。


真綾は嬉しそうにぱああっと顔を明るくして俺を見た。



「ありがとう……!あの、お金……」

「いいよ。俺が勝手に買ってきただけだし」

「でも……」