昼飯を食べ終わり、真綾が弁当箱を片付けている。
「高良くん、今日はお昼ご飯一緒に食べてくれて、ありがとうございましたっ……」
笑顔でそう言ってくる真綾に、複雑な心境になった。
「まーや、そんなことでお礼言わなくていいって」
一緒に食べてくれてありがとうって、そんなこと言うやついないだろ。
健気というか、律儀というか……。
些細なことにも礼をいうところが可愛いなとは思うけど、同時に心配になる。
真綾は今まで一体、どんな生活を送ってきたんだろうって。
自分には価値がないみたいな言い方をする時があるから、そんなふうに思ってほしくなかった。
俺にとって真綾は、この世で一番価値がある人間なのに。
まあ、原因は多分……今朝のあの”男”だろう。
こんなに優しくていい子な真綾に、友達ができないとかおかしすぎるから。