【完】溺愛したりない。〜獅夜くんは容赦ない〜

高良くんのこと、信用してないわけじゃない。

だって、騙すにしても、私を騙すメリットなんてないから。

高良くんを疑っているんじゃなくて、私は私を疑っているというか……こんなふうに好きだと言ってもらえる価値が自分にないから、信じきれないだけなんだ。



「ほんとに?」

「は、はい」

「ならいいや」



満足げな高良くんに、胸がきゅんと音を立てた。

高良くんは、どこからどう見ても完璧なお顔だと思う。

どの角度から見たってかっこいいし、眩しくて直視できない時もある。

そんな人が、私を好きだと言ってくれている事実が……くすぐったくて、嬉しくて、いろんな感情が混ざり合った。


お、お弁当食べようっ……。



「い、いただきます」



恥ずかしさを誤魔化すように、お弁当箱をあけて手を合わせる。

高良くんも、コンビニのビニール袋に入っているパンを取り出した。