恥ずかしいにも程がある。今後、雪梨様や香林たちにどんな顔して会えばいいのよ。
「機嫌を直せ。白蘭」
それなのに、この紅蓮という男は「満足しました」というようにヘラヘラと笑っている。
この人に恥はないのか。
「まだ怒っているのか。私の愛は一度や二度くらいでは…」
「あー!もう静かにして、これ以上恥ずかしい言葉は言わないで」
想いが通じてから歯の浮く言葉ばかり…心臓が持たないったら、ありゃしない。
「白蘭。そんなに端で寝ていたら風邪を引くぞ」
「風邪ひかないってば」
「そんなこと言うな。くっついて寝よう」
「何言ってるのよ。今まで散々くっついていたでしょう…」
勢いに任せて言ったが、恥ずかしくなり語尾が小さくなる。
「魔帝の寝台は広いんだから端で寝ても問題ないわ」
取り繕うように言葉を繋げると、紅蓮が私の腰に手を伸ばし引き寄せた。


