天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~



「どういうことだ…」


慌てて魔気病の薬を置いてある棚を探した。

魔気病の薬はきちんとそこにあった。

たしかに羅刹と契約している…。

朱雀を振り返る。


「朱雀…私が寝ている間、何があった」

「紅蓮様が寝込んだのは、ひと月です。その間に魔宮の復旧と生存者の治療と確認。それと神籍簿を確認しました…」

「違う!わかるだろう?私が聞きたいことが…」


朱雀は目を逸らす。


「何があったんだ?あれほどの致命傷で助かり左目も戻った。とても薬師神に治せるはずがない…羅刹に願ったんだろう?朱雀か?」


そして雪梨と香林にも目を向けた。


「雪梨か?香林か?…相当の対価を払ったはずだ。何と私の命を引き換えたのだ」


何と引き換えれば死にかけの命が救えるのか…。

紅蓮は三人を心配した。

しかし朱雀が意外な人物の名を口にした。