その瞬間、白蘭は渾身の力で月影を押しのけ水系術で作った剣を自身の首元にあてた。
「白蘭…っ」
我に返った龍が驚きに声をあげた。
「…あなたに汚されるくらいなら自分で命を絶つわ」
「そこまでするか…だが、私はそなたを決して離さない。白蘭は私の物なのだ。」
月影は初めて怒った顔を白蘭に向けた。
「婚姻は明日、決行する」
そう言い残し月影は皇子宮を去っていった。
「っ」
首元にあてた剣を下ろすと痛みが走った。手が震えたせいで微かに首を切ってしまったのだ。
「怖かった…」
衣を集め一人で震えた。月影は完全に変わった。恐ろしかった。
あのように天帝として多くの者に手を下してきたのだろうか。
…そうだ…氷輪。氷輪を助けなくちゃっ。
私には時間がない。
白蘭は座り込むのをやめ衣を整えると震える体を立たせた。
しかし皇子宮からは出られなかった。
月影の強力な結界が貼ってあったのだ。


