「しかしそれも後ひと月の命です。紅蓮様は本当に白蘭を愛しているのです」
紅蓮が…本当に?
「このまま真実を知らないまま会えなくなってもいいのですか?」
眉間に皺をよせる白蘭を雪梨は抱きしめた。
「白蘭。私はあなたのことを実の娘のように思っています。間違えたことは正せます…自分でよく考えなさい」
そしてスッと離れると魔界の方へ飛んで行った。
「白蘭…平気か?」
兎月が声をかけてくる。
「…ええ」
「都に行く気分ではなくなってしまったな…皇子宮に戻って兎月と茶を飲もう?」
「そうね」
皇子宮に戻った白蘭は雪梨に言われたことを繰り返し考えていた。
皇子宮にある鈴蘭が目に入る。
まだ八咫烏だったころ月影がここに連れてきてくれた。私はあの鈴蘭を気に入り月影は水系術で虹を作った。
月影の優しさは偽りではない…。


