天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~




「しかしそれも後ひと月の命です。紅蓮様は本当に白蘭を愛しているのです」


紅蓮が…本当に?


「このまま真実を知らないまま会えなくなってもいいのですか?」


眉間に皺をよせる白蘭を雪梨は抱きしめた。


「白蘭。私はあなたのことを実の娘のように思っています。間違えたことは正せます…自分でよく考えなさい」


そしてスッと離れると魔界の方へ飛んで行った。


「白蘭…平気か?」


兎月が声をかけてくる。


「…ええ」

「都に行く気分ではなくなってしまったな…皇子宮に戻って兎月と茶を飲もう?」

「そうね」


皇子宮に戻った白蘭は雪梨に言われたことを繰り返し考えていた。


皇子宮にある鈴蘭が目に入る。


まだ八咫烏だったころ月影がここに連れてきてくれた。私はあの鈴蘭を気に入り月影は水系術で虹を作った。


月影の優しさは偽りではない…。