天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~



その様子を見て紅蓮は安堵した。


やはり白蘭はそのようなことはしないと私は信じていた。


…白蘭に話をしなければ。


父上が八咫烏一族を殺したのは事実だが、父は反省し後悔している。それを伝えれば白蘭は少しは理解してくれるはずだ。


「白蘭…」


しかし紅蓮よりも先にあの女が白蘭に近づいたのだ。


戦場の騒ぎに乗じて牢から逃げ出した玲心が、フラフラと歩く。


「玲心…?玲心なの?」


白蘭はすぐに玲心に駆け寄ると、顔の傷に気がついた。


「玲心この顔はどうしたの?何があったの?」

「これは…紅蓮が」

「紅蓮が…?」


まずい。白蘭は何も知らず玲心を信じているのだ。

白蘭は紅蓮と玲心を戸惑いながら交互に見た。


「どういうことなの?」

「紅蓮は…私が正室に入ってから罵り使えないと言って、顔を殴ったの。私の美しい顔を殴ったのよ」


よくもそのようなことをっ!!ぬけぬけと語りおって!!


紅蓮は怒りの瞳で女狐を睨む。