その様子を見て紅蓮は安堵した。
やはり白蘭はそのようなことはしないと私は信じていた。
…白蘭に話をしなければ。
父上が八咫烏一族を殺したのは事実だが、父は反省し後悔している。それを伝えれば白蘭は少しは理解してくれるはずだ。
「白蘭…」
しかし紅蓮よりも先にあの女が白蘭に近づいたのだ。
戦場の騒ぎに乗じて牢から逃げ出した玲心が、フラフラと歩く。
「玲心…?玲心なの?」
白蘭はすぐに玲心に駆け寄ると、顔の傷に気がついた。
「玲心この顔はどうしたの?何があったの?」
「これは…紅蓮が」
「紅蓮が…?」
まずい。白蘭は何も知らず玲心を信じているのだ。
白蘭は紅蓮と玲心を戸惑いながら交互に見た。
「どういうことなの?」
「紅蓮は…私が正室に入ってから罵り使えないと言って、顔を殴ったの。私の美しい顔を殴ったのよ」
よくもそのようなことをっ!!ぬけぬけと語りおって!!
紅蓮は怒りの瞳で女狐を睨む。


