「父上!!」
紅蓮は月影を放置しすぐさま父の元へ向かった。
…白蘭。敵討ちのつもりなのか。
理屈はわかるが、愛する人が親を殺すなど耐えられない。
月影も追おうとするが傷が深く、すぐには立てないようだった。
戦場を駆け抜け敵味方の屍を超え、鳳凰が落ちた宮に入ったとき、白蘭が魔帝に剣を振り上げているところだった。
「白蘭!…」
「紅蓮…」
白蘭はゆっくりこちらを向いた。
「白蘭…頼む。やめてくれ」
声を振り絞るように紅蓮は頼んだ。すると、白蘭の持っていた剣がするりと手のひらから離れ床に落ちた。
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