「鬼神が羨ましかった。地位を手放すことが出来なかった私は蓬莱を手に入れられなかった。それなのに何も持っていない鬼神を天女は愛したのだ…」
でも、それだけの理由で戦を起こし鬼神である父を殺して良いわけがない!
今すぐにでも殺すべきと訴える鬼神の力とそれを止める天女の力がせめぎあった。
「私は愛し方を間違えたのだ…」
「っ…」
「白蘭すまなかった。そなたの家族を私は皆、殺してしまった。もはや謝罪では償いきれまい。気が済むのであればこの魔帝の命を取るがいい」
あの魔帝が謝り覚悟を決めたのか目をつぶった。
…そうよ。目の間に家族を殺した仇がいる。すぐに殺さなければ。
…駄目よ。人は誰しも過ちを犯すもの…魔帝は罪を認めたわ。私は命まで取るつもりなの?
究極の選択に迫られる中、後ろから声がした。
「白蘭!…」
「紅蓮…」
「白蘭…頼む。やめてくれ」
紅蓮だ。


