天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~




「天界が攻めてくる。奇襲であり先ほど知らせがあったばかり。すぐそこに敵がいる。心の準備もまだのことだろう。」


確かに急なことで紅蓮も鎧さえ身に着ける暇もない。

中には初めて戦に出る者もいるかもしれない。


「しかし!引くわけにはいかん!我々が引けば魔都に住む民の命が、皆の家族の命が犠牲になる!魔界の者として魔宮の者として何としてでも食い止めよ!!!」


「「「おおおおっ!!!」」」

「天界のやつらを打ちのめせ!」

「家族を魔宮を守るんだ!」


魔帝の言葉で兵士たちの士気が一気にあがる。


「そしてもう一つ!この場で皆に知らせておきたい!今ここで魔帝の座を紅蓮に譲位する!!」

「父上!?」


紅蓮が驚きに声をあげた。


「紅蓮は魔界の戦神として数々の偉業を遂げた!そしてその志は常に高く!情に厚く!身分を問わず公平に人を見つめられる!我が息子ながら誇りに思う!!」

「父上…」


実の父に言われ紅蓮は感無量だった。