天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~

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【魔界】


部屋を出るのと同時に魔宮の様子がおかしいのがわかった。


「紅蓮様。何かあったのでしょうか」

「…朱雀。先に宮に戻り体を癒せ」

「…あ、はい」


朱雀を見送った後、私は魔宮の大門の方に向かった。


…やはり。おかしいと思った。


大門にはすでに衛兵の姿があり先陣に父上がいる。


「父上。何事ですか」

「…天界が攻めてくる」

「天界が?」


戦の準備は十分に整っていない。朱雀軍も動けはするが指揮は紅蓮が取らなければならない。


「そうだ。天帝は随分と頭が切れるな。奇襲をかけてくるとは」


さすがの魔帝も苦虫を嚙み潰したような顔をした。


「魔帝陛下!我らがついています。二千年前のように勇ましく戦いましょう」


そういうのは魔界の黒豹族だ。後ろには香林もいて父親の声に頷いた。