「これ、約束のブツ」
教室でチョコなんて渡したらみんなになんて言われるか…とわざわざ生徒会室に中井戸を呼び出した新名は赤い紙でラッピングされた小さい箱を手渡した。
呼び出してまで渡すほうがよっぽど告白っぽいのだが、新名はそのことに気づいていない。
「ニーナ、どうも」
チョコを受け取った中井戸は頭を撫でようと手を伸ばすが、ふいっと避けられる。
「…よく、好きなひとじゃなくてもイケメンなら頭ポンされたら嬉しいとか聞くけど。私は触れられるのすっごい嫌。前から言ってるよね?」
チッと舌打ちをしながら睨む新名に対し、中井戸はニヤリと嬉しそうな顔をしながら少しずつ顔を近づける。
「じゃあそのまま、誰にも触らせないでおいてくれ」
「はあ?中井戸に言われなくてもそうするわ!」
新名は「近い!」と言いながら中井戸のおでこをペンと軽く叩いた。
それすらも中井戸が喜んでいるとは知らずに。
「ホワイトデーのお返しは何がいい?高級なお菓子か?ブランドのアクセサリーか?」
「中井戸がわがままを言わないこと!!頼むから大人しくしてろ!」
おまけend