「それで議題は?」


「バレンタインデーにおけるチョコレートの持ち込み禁止について」


「却下します。
中井戸、まじで何言ってるんだ。くっだらねぇ解散解散」

とりあえず理由を聞いてもいいですか?


「新名さん、本音出ちゃってますよ」

会田の言葉にハッとして手で口を押さえる。
しまった。本音と建前が逆になってしまった。
んん、と咳払いし「失礼しました」と頭を下げる。


「なんで禁止するですか~?会長イケメンだしチョコもらえますよね。私はあげないけど」

相変わらず髪の毛をくるくるしながら馬場が口を開く。


「いや、俺はたぶんもらえない。去年、手作りチョコばかり渡されたから全部その場で断った。

好きじゃないやつからの手作りチョコなんて食べたくないだろ」


「え、待って待って。じゃあもしかして。
去年、チョコを断りまくったせいで今年はもらえないだろうから、どうせなら禁止にしてやろうってか?」


こくん、と中井戸は大きな目をパチパチさせながら頷く。