その後しばらくして山崎とは別の男が流を迎えにきた。



伏し目がちの二重まぶたから覗く、漆黒の瞳。

真っ直ぐに伸びる鼻梁、きりっとした眉。

固く結ばれた唇はよほどのことがないかぎり開かれそうになかった。




────なんだか寡黙そうな人。


流は前を歩く男を見やって、なんとなくうなずく。




「本当にあんたがやったのか」


とつぜん向けられた視線に足が止まった。


まるで些細なことを確認するかのような。だけど決して軽々しくはないその口調に、流は目を丸くして。




「……え?」

と、思わず聞き返してしまった。



妙な雰囲気のある男はなにも映さぬ瞳で流を射貫く。




「……なんでもない」


ふい、と。

何事もなかったかのように前を向いた男。


男はそれ以降、なにも喋ることはなかった。




ちょっとだけ土方に似ていると思った。

必要なこと以外は口にせず、愛想笑いも一切しない。顔もどこか似ている……ような。


そこまで考えて、置いていかれないように流はついていくことに専念した。