ミアの静養。
その名目で、グレンたちは今うちの領地の別荘に住んでいる。
使用人はグレンが信用できる人たちと、私の一番の侍女だったルカを連れて行った。
月に何度か来るルカから報告にはミアは屋敷にいた頃よりも、ずっと素直に自分を出せるようになってきたと書いてあった。
ミアは他人の目を気にしない静かな土地で、大切な人たちだけと幸せになれた。
いつか落ち着いて、ありのままの自分に自信が戻った頃、帰ってくればいいと私も思っている。
「まぁ、私はわたしでミアとルカに仕事を頼んでいるから、あんまり他人ひとのことは言えないんだけどね」
「そうだ、昨日また侯爵家から大量に食材や布などが送られてきたけど、ソフィアとミアはこそこそ何をしているんだい?」
「それは俺も気になっていたんだ。時折、護衛だけ付けてこっそり街へ顔を出しているようだけど」
「あれ、二人ともミアに聞いてなかった? 先月くらいに、二人名義で小さなお店を出したのよ。雑貨屋さん。これが商会にも一枚咬んでもらって、結構儲かっているのよ」
『は?』
見事にキースとグレンの声が重なる。