「君はいつでも無茶ばかりして、こっちの心臓が持たないよ」


 立ち上がろうとしても立ち上がれないでいる私に、キースが手を差し出した。


「いつでも君の行動力に、俺は驚かされてばかりだ」

「ソフィア、君はまだミアのことを救えると、救いたいと思うかい?」

「グレン、あの子は私の妹で、私の一番の親友が愛した子だから。私ね、ずっといろんなことを諦めて後悔ばかりしてきたの。そんな人生だったの。だからね、辞めたの。どうせする後悔なら、何もしない後悔よりやってからする後悔の方がいいって思えるようになったから」


 グレンは下を向き、拳にした両手に力を込める。


「ああ、そうだね。君の言う通りだ」

「キース様、グレン、私と一緒にミアの元へ行って下さい。二人にも聞いていて欲しいんです。全てを」


 私とあの子のこと全てを。

 例えおかしく思われても、私たちのことを全て話そう。

 それがきっと、救いになるはずだ。


「分かった。では、行こう」


 キースはここへ来たとき同様に私を抱き上げる。

 歩けない以上は観念し、キースに身を預けた。


「ルカ、すぐ戻ってくるわ。そしたらしばらくは安静に過ごすから、私の好きなものをたくさん用意しておいてちょうだい」

「もちろんです、お嬢様。どうかお気をつけて」

「ええ、行ってくるわ」