「ミア、あなたはどうしてそんな発想になるの。私が誰と結婚したって、あなたが誰と結婚したって、そんなのは勝ち負けの話ではないでしょう。私たちは幸せになるために、一緒になるのよ。そんなつまらないことに対抗心を抱いてどうするの」


 何がそれほどまでに、ミアに私や地位を固執させているのか。

 結婚ですら、私との勝ち負けの対象にしようとしていたなんて。

 そんなの絶対に間違っている。


「いい加減にしないさい、ミア。前にも私は言ったはずよ。あなたは、このブレイアム家の侯爵夫人となるの。そんなことで、どうするの」

「そうやって上から見下している姉さまには、わたしの気持ちなんて絶対に分からないわ」

「私がいつ、あなたを見下したというの」


 いつでも私は見下される存在だったというのに、ミアの瞳に私はどう写っていたのだろうか。


 グレンか誰かが間に入れないと、もうこれ以上の話し合いは喧嘩になるだけだ。

 私はティーカップに手をかける。

 ミアが淹れてくれたというお茶だけ飲んで、退出しよう。


「もうこれ以上は二人で話すのは無意味だわ。明日以降で、グレンかお母様のいる時にまた話ましょう。お茶、ご馳走様でした」