ミアの部屋は全てをピンクで統一されていた。簡素で実用的な私の部屋と違い、ぬいぐるみやふわふわとしたクッションなどが至る所に置かれている。

 猫足の椅子には、その一つ一つにリボンまで巻かれる念の入りようだ。

 何から何まで正反対というのは、このことを言うのだろう。


「お姉さま、王宮で倒れられたと聞いて、もうわたしびっくりしたのですよー。さあ、また具合が悪くなるといけないから、座って座って」


 ミアがティーテーブルの椅子を勧める。

 体力がない私は仕方なくその椅子に座る。

 そしてミアがその対面に座った。


「何日か前から風邪を引いていたの。だけど、熱が下がったのでいいと思って登城したら気分が悪くなってしまったのよ」

「まったく、無理するからですよ? 姉さま」

「ねえミア、あなたグレンと会わなかったかしら? 私が倒れた後、グレンがあなたに会うために領地へ向かったはずなんだけど」

「え、グレン様が……」

「ここから領地までは一本道だったはずだから、あなたがここへ帰って来たなら、どこかで会えたはずなんだと思うんだけど」