「この石はキース様の瞳の色ですね」

「ああ。こういうのは、自分の色の付いたものを贈る方が喜ぶと言われて」


 ミアにそうアドバイスをされたのだろう。

 なんでなのだろう。

 ミアは私を嫌っているはずなのに、このプレゼントはちゃんと選ばれている。

 派手ではない装飾も、キースの瞳の色の石も、全て私の好きなものだ。


「……」

「ソフィア、やはりこれはやめておこう」

「いえ。そうじゃないんです。むしろびっくりするくらい、私のこと分かってるなって、少し感心しただけです。キース様、付けて下さいますか?」

「ああ」


 付けると、その小さな石がキラキラと胸元で輝いて見える。

 ただそれだけで、キースが側にいてくれるような安心感があった。


「ルカ、キース様をお父様の元へ案内して。私はミアに会ってくるわ」

「畏まりました。あとでミア様のお部屋にお茶をお持ちさせていただきますね」

「ええ、お願いね。ではキース様、また後で」

「とにかく、無茶なことだけはしないでくれ」

「はい、もちろんです」


 ルカがキースを連れ、父の元へ向かったのを見届け、私は一人ミアの部屋へと向かった。