「初めソフィアちゃんを見たときは、さすがに貴族のご令嬢なだけあって綺麗だわーって思ったけど、そんな子が魔物料理までしちゃうなんてね」

「綺麗だなんてそんな。私より綺麗な人なんて、たくさんいますし」

「何言っているんですか、お嬢様は社交界でも五本の指に入るくらいの美しさなんですよ」

「ほら、やっぱり」

「ルカ、大げさよ。社交界でなんて、私以上のひとばかりじゃない。それに、小さくてクルクルと動くルカは小動物のように可愛いし、アンジーさんはスリムなのに胸が大きくて羨ましいし」


 ルカはうちの侍女の中で、特に可愛い。

 大きなくりくりっとした紫の瞳にグレーの短い髪で、私より小柄な体格で動き回る姿はまるで子リスのようだ。

 アンジーさんも健康的な小麦色の艶やかな肌に、たわわな胸。

 たくましく、私とはまるで正反対のような強い美しさがある。


「あーやだやだ、この子は。これは相当たちの悪い無自覚ね」

「そうなんですよ。もっと言ってやって下さい」

「無自覚って、何なんですか。さっきギルド長にも言われましたが」

「触れれば溶けてしまうのではないかというような、氷の花のように美しい人に、可愛いとか言われてもねぇ」