キースはそう言いながら、視線を私に移す。

 すると、ギルド長はさらに珍しいモノを見るような目つきで私を見た。

「……」

 居た堪れなくなり、私は両手で顔を覆った。

 あああああ。もう、今日はなんていう日だろう。言った。

 確かに言いました。

 だけどソレはあくまで好奇心だっただけで、ここまで酷い反応を周りがするとは思ってもみなかったんだもの。

「お嬢さん、食べるんですか?」

「あの……んと、食べられないなら、いいんです。でも、肉だとなって思って……」

 もうこれ以上、何も聞かないでほしい。恥ずかしさで、顔から火が出そうだった。

「お貴族様は、そんなもん食わなくったって困らないでしょうに」

「別に貴族だからどうというわけではありません。美味しく食べられるなら付加価値を付けて高級食材に仕立てればい
いですし、普通だったら食糧難や困窮者の食糧にならないかと思っただけです。冒険者たちは魔物を狩るでしょ。その魔物の皮や鱗、爪といった部分だけでなく肉も買い取ってもらえば、いいかなと。そして退役した冒険者などがそれを解体・加工して卸せれば新たな職業として成り立つのではないかと思ったのです」

「このソフィア嬢は、退役した冒険者を冒険者広場の警備兵として雇えないか、という案も出しているんだ」

「お嬢さん、あんた、そこまでなんで……。言い方は悪いですが、貴族の方が考えるようなコトではないでしょう」

「いえ……。税を取る代わりではないんですが、冒険者だっていつまでもやっていける職業ではないと思うんです。それならば退役した後の居場所の確保も、この国の治安を守るためには必要だと思ったのです」