「行きたいところって、ここだったんですか」
半ば呆れたように私は言葉を紡ぐ。
まさか私に借りを作ってまで行きたかった場所が、冒険者ギルドだったなんて。
口は禍の元とはよく言ったものである。
いくら記憶が戻って、この世界のいろいろなことが知りたくなったとはいえ、きちんと考えてから発言をしないとまずいだろう。
今回のこともミアの耳に入ったら、私の正体がバレてしまう可能性がある。それだけでは、絶対に避けないとダメだ。
「いや、一度気になったことはちゃんと確かめないと眠れそうもないからな」
キースは好奇心が強いというか、なんというか。でもある意味、そこは私と似ている気がする。
「今日はどういったご用件でしょうか」
キースがギルドの受付嬢に用向きを話す。
場違いな私たちは明らかにこの中では浮いていて、通り過ぎる人たちがジロジロと見ていた。
なんだか、少し居心地は悪い。しかしキースはそんなこと、全く気にする様子はないようだ。
「奥でギルド長に今から会えることになった。行こう、ソフィア」
「え、あ……はい」