あやかし戦記 愛ゆえの選択

その時、「あれ、ヴィンセントくんにイヅナさんじゃん!」と声をかけられる。声のした方を見れば、同期であるアレン・ホッジンズが手を振っていた。その隣には、アレンの幼なじみであるチターゼ・グランツもいる。

二人も祭りということもあり、私服だ。アレンは、赤いバラの刺繍が施された黒いシャツと黒のデニムパンツ、黒いスニーカーを履いている。チターゼは、ハイネックのチェック柄のセーターに赤いダボッとしたパンツを身に付け、黒いパンプスを履いている。

「お二人もお祭りに来ていたんですね!」

たくさんの人がいる中で、アレス騎士団の同期に会えるとは嬉しいことだ。イヅナが笑うと、アレンは「せっかくだしね!」と楽しそうに笑い、チターゼは目を逸らす。明らかにイヅナと目を合わせないようにしており、イヅナと胸がズキンと痛む。嫌われているとわかっていても、傷付いてしまうものだ。それを顔に出さないようにし、ヴィンセントとアレンと話す。

「よかったら、お二人も一緒に回りませんか?レオナードが任務でいないので、ちょっと寂しくて」