あやかし戦記 愛ゆえの選択

泣きじゃくるハオランに、イヅナはしゃがんで目を合わせる。零れ落ちた涙が地面を雨のように濡らしていく。だが、心はとても温かい。

「大勢の命と引き換えに自分が助かった、それを知ったらあんなに純粋なユエちゃんは、生きることができてよかったと本当に思うのでしょうか?」

イヅナの肩が強く掴まれる。ハオランは嗚咽を漏らし、何度も鼻を啜りながら口を開く。

「考えた。何度も、何度も、何度も考えて、本当に自分のしていることが正しい選択だったのか悩んで……。でももう戻れない。殺された人に謝っても、その命は帰ってこなくて、私は汚いお金を手にして、そのお金を使ってユエの治療を……」

部屋にハオランの慟哭が響く。それを見ていたツヤは、「時間がねぇ、さっさと教えろ」とハオランを睨む。

「歩んできた道は戻れない。でもその道が嫌ならぶっ壊せばいいだけだろ。メソメソメソメソ泣くんじゃねぇ。泣きたいのはお前じゃなくて、汚い金で治療されているお前の娘や生贄にされた人たちだ」