あやかし戦記 愛ゆえの選択

(あたしの人生、ここで終わりなのか?憎んでいる妖に喰い殺されて終わりなのか?)

そう思うと、チターゼの中に悔しさが募る。家族を自分以外全員妖に殺され、妖を滅ぼすためだけにアレス騎士団に入団した。まだ妖を滅ぼすという夢を叶えられていない。

仕方のないこと、嫌だ、諦めた方が楽、死にたくない、今から殺される、あたしがこいつらを地獄に送りたい、情けない、悔しい、こんなことになるなら、生きていたい……!!

色々な感情が込み上げ、チターゼの目の前がぼやけていく。そんな視界の中で、四凶の誰かが攻撃をしようと手を振り上げることだけがわかった。



血の匂いが立ち込める中、イヅナは強く袴を握り締めて唇や体を震わせ、ツヤたちが来るのを待った。

シンと静まり返ったこの空間が、一秒さえも長く感じてしまうことが、とても怖い。

「チターゼさん……」

こうしている間にも、チターゼに命の危険が迫っている。早く誰か来てほしい、そうイヅナは思いながら目を強く閉じる。閉じられた瞼から、涙がボロリと落ちていった。