あやかし戦記 愛ゆえの選択

「旅館側としては、お金さえ払ってくれれば急にいなくなっても何か用事ができたんだろうって考えだ。実際、あたしとレオナードがこっちに来てすぐ、行方不明になった人間がいたが、部屋に争ったような跡はなく、血痕などもなかった。……つまり、事件が起きたとして見られていないんだよ」

三大戦闘員の一人であるツヤがいても事件が防げなかったということは、今回の敵は恐ろしいほどに強いのだろう。イヅナはゴクリと唾を飲み込む。

「ところで、レオナードくんはどこで働いてるの?ロビーや廊下では見かけなかったけど」

エイモンが訊ねると、ツヤはニヤリと笑う。そして「探索ついでに探してみろ」と言い、部屋を出て行った。

「探索、行きますか?」

ツヤが出て行って数十秒後、ヴィンセントが口を開く。そして三人は荷物を置き、シャオゴウの探索に行くために廊下に出た。



五階建ての旅館を見て回り、妖が出そうなところは夜に見回りに来よう、そうエイモンが言ったので、イヅナは怪しい場所がないかどうかを探した。

五階、四階、そして三階は客室があるだけなのだが、二階には広々とした宴会場がある。今日も宴会が行われると言い、従業員が忙しそうに準備をしていた。