あやかし戦記 愛ゆえの選択

「ギルベルトくんが言ってたんだけど、ここって老舗の高級旅館なんだって。任務でない限り、泊まれるのはギルベルトくんくらいじゃないかな?」

エイモンの言葉にイヅナは納得する。一泊するだけでどれだけお金がかかるのか、考えるだけでも恐ろしいほどの高級感漂う旅館だ。こんな旅館で行方不明事件が発生しているなど、笑顔で旅館の中に入って行く人は誰も知らないだろう。

「とりあえず旅館の中を探索して、妖が出そうなところを探しましょうか」

ヴィンセントが言い、エイモンとイヅナは頷く。先ほどまであった疲れは、高級旅館を前にするとなくなってしまった。今はただ、旅館の中に何があるのか気になって仕方がない。

「こんにちは」

旅館の玄関口で掃除をしている従業員に挨拶をし、三人は中に入る。旅館の外観も素晴らしいものだが、中はもっと豪華でイヅナはあちこち見回す。

天井にはおしゃれな赤と金で装飾されたランプが吊るされ、床にはワインレッドの絨毯が敷かれている。くつろぐために置かれたソファなども革で作られており、アンティーク調の花瓶には生け花がされており、繊細な花たちで作り上げられた力強い作品に、多くの人たちが足を止め、鑑賞している。