小崎さんは、私とは真逆の子だ。


学校にも行かずずっと部屋の中に引きこもっている私と違って、とってもキラキラして見える。


まるで暗闇なんて知らないような。



「ちょっと2人とも僕のこと忘れてない?」


「あ……ごめん、藤波(ふじなみ)くん」



奥から知らない声が聞こえる。


その声を聞いて小崎さんは振り返ってその人の名前を呼んだ。


そこで初めて小崎さんの他にも人がいたことを知った。


ドアの向こうに隠れていて、後ろにいたことに気がつかなかった。



「酷いなぁ、小崎さん。僕は学級委員の藤波です。今日はこれを届けに来たんだけど、小崎さんがどうしてもついて行くって言うから」



小崎さんに横目でため息をついたあと、真っ直ぐに私を見てファイルを差し出してきた。


半透明のファイルからは、たくさんのプリントが見える。



「その言い方酷くない?ねぇ、実桜ちゃんもそう思うでしょ?」



頬をぷっくりと膨らまして怒る小崎さん。


何やら藤波くんの言い方に不満があるらしい。


そんな姿は、なんかちょっぴり可愛い。