「本当に、ありがとう藤波くん」
こんな“ありがとう”という言葉だけじゃ、感謝したりないくらい。
次会うときは、まず初めに香純ちゃんにもお礼を伝えよう。
笑顔で、おはようよりも先に……必ず。
「いえいえ。僕も片寄さんが楽しんでる姿を見れて良かったよ。よく頑張ったね、“ミオちゃん”」
藤波くんにそう言って貰えて嬉しい。
本当に本当に、楽しかった。
……って。
「へっ……?」
何か1つ、違和感に気がつく。
ふと隣を歩く藤波くんを見上げると、少し頬を赤らめて、私じゃなく真っ直ぐ前を向いていた。
その言い方、その呼び方……
私、知っている。
ここ数年、ずっと聞き慣れている呼ばれ方だ。
「ところでさ、僕のことずっと藤波くんって呼んでくれているけど、いつもみたいに“アオイ”って呼んでくれないの?」
「え……アオイって」
“アオイ”とそこを強調する藤波くん。
アオイと呼ぶ人は、私の中でたった1人。
SNSで繋がっている、同じC&Hのファンであるアオイさんしかいない。



