「久しぶりの学校はどうだった?」



学校からの帰り道。


藤波くんと2人、肩を並べて歩く。


その途中で不意にそんな質問を投げかけられた。



「あんなに怖がってたのがどうしてかわからないくらい、楽しかった」



ずっと学校には顔を出さず、練習にも一度も参加していなくて迷惑だって思われてもおかしくないはずなのに、温かく迎え入れてくれたクラスメイト。


初めて話す子に「一緒に頑張ろうね」と励まされて。


たとえ失敗してしまってもカバーしてくれたり。


みんなの優しさに触れた。


そんなみんなのおかげで楽しかったと思える。


私を不登校だった人と特別視するわけでもなく、元から存在していたかのような……クラスメイトの1人だと受け入れてくれたことが、本当に嬉しかった。


実は、香純ちゃんからこっそり聞いたんだ。


学級委員の藤波くんが、クラスメイトみんなに話してくれたんだって。


私が本当は学校に行って、友達をたくさん作りたいこと。


みんなと同じように勉強をして、お弁当を食べて、遊んで、楽しみたいと思っていること。


私が学校に来れた日には、みんな温かく迎えてほしいんだって。


それを聞いた時、涙が溢れてしまいそうになった。


なんて優しいんだろうって。


今日、私が勇気を出して学校に来れたことも、不安を吹き飛ばしてくれたことも、楽しめたことも、全部藤波くんと香純ちゃんのおかげだった。