「今日はたくさん実桜ちゃんが笑ってるところ見れて、良かったよー!」


「わぁっ」



無事に体育祭も終わり、カバンを取りに教室へ戻る途中。


隣を歩いていた香純ちゃんに左腕を引っ張られて、引き寄せられた私は、バランスを崩して香純ちゃんの肩にぶつかってしまう。



「もっと実桜ちゃんのこと大好きになっちゃった!」



そう満面の笑みで言う香純ちゃんは、私をギューッと抱きしめる。


香純ちゃんは、私を抱きしめることが多い。


もう毎日くっついているんじゃないかと思ってしまうくらい、お決まりのこと。


でも、それが嬉しい。


落ち着くし、安心する。



「私も……っ、香純ちゃんのこと大好きだよ」


「……なっ、もう実桜ちゃん大好きすぎるー!!」


「あっ、か、香純ちゃんっ、苦しいよ」



人目もはばからず、道のど真ん中で私たちは抱き合っていた。



「ほら、他の人の邪魔になるから行くよ」



私たちの様子をずっと後ろから見ていた藤波くんに、呆れたのかため息混じりに注意された。



「うん、ごめん」


「ちぇーっ、もう少しくらいラブラブさせてくれたっていいじゃんね?」



素直に謝った私とは違って、香純ちゃんはちょっと不満な様子。


まぁ、幸いなことに後ろを歩く人たちとは離れてたから迷惑はかけてないし……大丈夫だよね。