「……っ！」



偶然なのかどうなのかわからないけれど、C&Hの曲が流れた。


エールを送る歌詞に勇気を貰える、私の大好きな曲。


まるで私の背中を押してくれているかのよう。



C&Hは Courage and hope(ｶｰﾚｯｼﾞ ｱﾝﾄﾞ ﾎｰﾌﾟ)という言葉の略で、意味は“勇気と希望”。



今の私が必要としている、まさにピッタリの言葉。


何度C&Hの歌う曲に助けてこられたか、勇気をもらえたか、どんなにどん底にいても希望をもらえたか、わからない。


今日もまたC&Hに支えられるだなんて。


ギュッとバトンを握り直して、俯きかけていた顔をグッと上げる。


目の前に香純ちゃんの姿が見えた。


私を確認して香純ちゃんが走り出す。


大丈夫、練習した通りにやれば上手くいく。



「香純ちゃん！！」


「任せて！」



無事にバトンを渡すことができて、ホッとした。


乱れた息を整えるため、膝に手をついて大きく深呼吸をする。



「頑張れ、香純ちゃんっ」



香純ちゃんから次の男の子へとバトンは繋がれていき、１位とはタッチの差で抜かすことはできなかったけれど、２位という好成績を残すことができた。