気づけば君が近くにいてくれた




こんな状態で帰るわけにもいかず、ずっと不登校を続けていた私がどんな顔をしてクラスメイトに会えばいいのかもわからず、俯いてしまう。



「ほら、前おいで?」



私を隠していた香純ちゃんが一歩右にズレて、私の姿がみんなに見えてしまった。


どんな言葉をかけられるだろう。



怖い。

苦しい。

逃げたい。

ううん、逃げちゃいけない。



ずっと握ってくれていた香純ちゃんの手をギュッと握り返して、顔を上げた。



「か、可愛いっ!」


「本当に、本当に、実桜ちゃん?」


「入学式の時全然顔見れなかったからわからなかったけど、可愛すぎる!」


「……っ」



次々に上がるクラスメイトの声。


これまで耳を塞ぎたくなるようなくらい聞いてきた言葉はひとつもない。



「早く実桜ちゃんに会ってみたかったんだ!」


「わ、私に?」



1番前にいた女の子に話しかけられる。


名前はわからないけれど、長い髪をポニーテールにしてとても元気で明るそうな女の子。



「うん!香純ちゃんが毎日のように実桜ちゃんの話するんだもん。だから私も友達になりたいなって思ってたんだ」