気づけば君が近くにいてくれた




「藤波、おはよう」


「香純ちゃんおはよー!」



すっかりクラスに溶け込んでいる2人は、テントに着くなりたくさんのクラスメイトに声をかけられている。



「今日は遅かったな、委員長」


「あぁ、今日はサプライズゲストを迎えに行ってたからね」


「そうなの!めちゃくちゃ可愛いんだからっ」



前に出づらくて、藤波くんと香純ちゃんの後ろに隠れる私。


藤波くんが私の存在を“サプライズゲスト”と大きく知らせてしまって、香純ちゃんまで可愛い子だととんでもないことを言ってしまったせいで……



「可愛い子!?え、めっちゃ気になるんだけど」


「香純ちゃんが可愛いって言うんだからすごく可愛い子じゃない?」



ほら、こんな勝手な想像で盛り上がってしまっている。


これじゃますます出られなくなってしまう。



「ちょ、ちょっと、香純ちゃんっ」


「大丈夫、大丈夫!みんな今日実桜ちゃんが来ること知ってるから」



え、本当に?


心配になって後ろから香純ちゃんに耳打ちすると、少し首を後ろに傾けてそう言われた。


みんな知ってるって……いやいや、それなら尚更出にくいよ。