気づけば君が近くにいてくれた





「もうすぐ集合時間だからカバン置いて行こう」


「そうだね、実桜ちゃん、心の準備は大丈夫?」



大丈夫かどうかと聞かれれば、やっぱり怖い。


でも、信じてみることにしたんだ。


私の大切な2人……藤波くんと香純ちゃんのことを。



「うん、大丈夫」



そう呟いて、自分にも言い聞かせた。


大丈夫だよ、実桜。


今の私は、今までの私とは違う。


藤波くんと香純ちゃんのおかげで少しずつ変わってこられたんだ。


2人が私の帰る場所をくれた。


今度は、私が自分で一歩を踏み出す番だ。



「無理はしないで。なんかあったらすぐに言ってね」


「そうだよ、実桜ちゃん!でも、一緒に楽しもうねっ」



履いていなかったせいで綺麗すぎる上履きから外靴へと履き替えて、再び外へ出る。


校舎の脇道を出れば、グラウンドだ。


だんだんと話し声が大きく聞こえてくる。


熱中症対策なのかたくさんのテントが立てられていて、その下に人が集まっていた。


1年生のテントは1番奥。


端から2番目に私たちのクラスである1年2組のテントが用意されていた。