気づけば君が近くにいてくれた




「わ、私、体育祭の練習なんて一度も出てないよ!?それなのに競技になんて出られない……」



そうだ。


私がまた学校というところに足を踏み入れられるかという問題以前に、体育祭に出るための練習は一度もしていない。


ほら、体育祭って小学校でいう運動会と一緒でしょ?


小学生ですらもしっかり何週間も前から体育の時間を使って練習を重ねて本番を迎えるはずだ。


それなのに、私は練習をしていないどころかどんな競技があるのかさえも知らない。


どのクラスも優勝を目指して切磋琢磨しながら臨む体育祭に、一度もクラスに顔を出さず、練習にも参加せずの私がポッと出るわけにはいかない。



「練習してないって?したじゃん?僕たちと一緒に」


「え?」



練習した?


一体、いつ?



「もしかして……」



顔を見合わせて不敵な笑顔を浮かべる香純ちゃんと藤波くんに、ふと思い出す。


つい最近公園に連れ出されるようになって遊んでいた鬼ごっこ。


ミニリレーも大縄跳びもして遊んだ。


ただ私の気分転換をするためにと2人がしてくれていることだと思っていた。


あんなふうに遊んでたのって、全部今日のためだったの?


私が突然体育祭に参加しても困らないように。


家に引きこもりっぱなしで落ちていた体力を戻して、体育祭で行う競技に出られるように。