気づけば君が近くにいてくれた




その後も2人とも私に行き先は伝えてはくれず、気づけば目的地と思われる近くの駅に到着し、電車を降りた。


藤波くんが前を歩き、後ろで香純ちゃんと手を繋いで歩く。


本当にこれからどこへ……


そう頭を悩ませていたのだけれど、ふとあることが頭をよぎった。


ここ……私、知っている。


なぜかって、過去に通ったことがあるからだ。


家を出てからずっと同じ道だったのに、なぜ気が付かなかったんだろう。


いや、まさか目的地がここだなんて思っていなかったからだ。



「……学校」


「実桜ちゃんを連れてくるなら今日だと思って。藤波くんとも相談して決めたんだ」



私が小さく目的地であるその場所を呟くと、香純ちゃんが私を見てそう言った。


香純ちゃんの瞳は、とても真っ直ぐで何かを決意したかのように見える。



「うん。実は今日体育祭でね、真面目な授業に来るよりも楽しいって思ってもらえるかなって思ったんだ」



校門の前で足を止めた藤波くんが振り返る。



「……体育祭?」



久しぶりに学校へ来てしまったという驚きもあるけれど、入学式以来初めてくる学校がまさかの体育祭当日だということにも驚きを隠せない。



「うん、もちろん実桜ちゃんも一緒に出るよ!」



しかも、私も参加するというのだから。